町を歩いていて、はたと気がつきます。「あれ?何だコリャいったい」と。いまのいままで何気なく通り過ぎて見ていた物体が、急に異様なほど気になって仕方なくなるのです。役に立つべきものが役に立たない姿で存在していて、無用にもかかわらず大切に残されているかのようだからでしょうか。きっと、用をなさないからこそ、純粋にただそこに在って、佇んでいることができます。名付けられて作られた以上、世界にとって有用でなければならないなかで、捨てられもしないそれが、幽霊のように、もうひとつの世界を垣間見せてくれます。
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