安部公房 『砂の女』 (新潮社、1981)

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生きるうえでは、合理性だけでは語り得ないことが少なくありません。車も入っていけない山奥など、そこで暮らさないひとから見れば、なぜそんな場所で生活しているのか、とても理解はできないでしょう。それはどこか、趣味趣向と似ているようにも思えます。誰かに説明したって理解してもらえるわけではないし、本人でさえどうしてそんなに固執しているのかはっきりとしません。そこには、まるで後ろめたさがあるかのように。さらさらとした砂も、奥のほうは湿り気を帯びていて、かならずどこかがしけっているのです。

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