いまはいないひとのことを描こうとする。返事が無いことを知りながら声をかけてみる。そこでもう一度、そのひとと会うこと、話をすることはできるのだろうか。近くにいた時だって、他人のなかにはそのひとだけの自分が生きているのかもしれない。いなくなると身体の包みが見えなくなって、自分の姿が現れ、動き出しはじめる。そのひとの言葉を、振る舞いを、思い返して再現するのは自分自身なのだ。そんな自らと、別れるために、言葉にする。そして、距離は消えて、そばにいて導いてくれる。
¥3,300
※こちらの価格には消費税が含まれています。
※送料が別途¥370かかります。